長年続けてきた年賀状を「今年で区切りにしたい」と考える人が増えています。
この動きは「年賀状じまい」と呼ばれ、2025年は個人だけでなく企業にも広がる大きな流れとなっています。
背景には郵便料金の値上げや印刷代の負担、デジタルツールの普及、そして人間関係や暮らし方の見直しがあります。
ただし、年賀状じまいを伝える際に気をつけたいのは「失礼にならない伝え方」です。
この記事では、前向きに理由を伝えるコツから、年代別・場面別に使える豊富な文例までをまとめています。
年賀状をやめても人とのつながりは続けられる──そんな安心感を持っていただけるよう、実用的な例文を多数紹介しています。
ご自身の状況に合った表現を選び、気持ちよく新しいコミュニケーションの形を始めてみませんか。
年賀状じまいとは?2025年の現状と背景
ここでは、年賀状じまいの意味や、2025年における最新の状況について解説します。
まずは「年賀状じまい」という言葉自体がどういう意味を持つのか、そしてなぜ今の時代に広がっているのかを見ていきましょう。
年賀状じまいの意味と広がり
「年賀状じまい」とは、これまで毎年続けてきた年賀状のやり取りを終了することを指します。
いわば「年賀状を卒業する」という宣言であり、近年では誰もが知る言葉として定着しつつあります。
従来は年賀状を出さないと「礼を欠いているのでは」と考える人も多かったのですが、今ではむしろ自然な選択肢のひとつとして受け入れられています。
2025年時点では、すでに個人の6割以上が年賀状じまいを経験済みという調査結果もあります。
特に定年後やライフスタイルの変化を機に区切りをつける人が増えており、社会全体で大きな流れになっています。
年 | 年賀状の発行枚数 | 特徴 |
---|---|---|
2010年 | 約34億枚 | ピーク期 |
2020年 | 約18億枚 | 半減 |
2025年 | 約10億枚未満 | SNSやメールが主流 |
2025年に加速する理由と最新データ
2025年に年賀状じまいがさらに広がっている背景には、複数の要因があります。
ひとつは郵便料金の値上げです。
年賀はがきの価格は、2025年現在で1枚85円となり、数百枚単位で出す人には大きな負担となっています。
もうひとつはデジタルコミュニケーションの普及です。
LINEやメールでの挨拶が一般的になり、より手軽に感謝の気持ちを伝える方法が浸透しました。
また、形式的なやり取りよりも、必要な時に必要な言葉を伝えることを重視する価値観の変化も見逃せません。
「年賀状がなくても人とのつながりは続けられる」という考え方が、特に若い世代を中心に浸透しています。
主な理由 | 割合(2025年調査) |
---|---|
郵便料金・印刷代の負担 | 42% |
デジタルツールの普及 | 35% |
人間関係の整理 | 18% |
その他 | 5% |
こうした理由が重なり、2025年は「年賀状じまい元年」と言ってもいいほど、選択する人が一気に増えています。
この記事では、このような背景を踏まえつつ、具体的な理由の伝え方や文例を分かりやすく紹介していきます。
年賀状じまいを選ぶ主な理由
ここでは、多くの人が年賀状じまいを選ぶ際に挙げている代表的な理由を整理してご紹介します。
複数の要素が重なって「今年でやめよう」と決断する人が多く、特に2025年はその傾向が顕著になっています。
手間や体力的な負担の軽減
年賀状作成は、年末の忙しい時期にまとまった時間を割かなければならず、印刷や宛名書きの準備も手間がかかります。
特に枚数が多い場合には大きな負担となり、毎年「そろそろ区切りをつけたい」と考えるきっかけになっています。
年賀状じまいは、無理をせずに自分のペースで年末を迎えるための選択とも言えます。
従来の作業 | 負担の内容 |
---|---|
デザイン選び | 毎年のアイデア出しに時間がかかる |
印刷・購入 | 費用の負担と発注の手間 |
宛名管理 | 住所録の更新が大変 |
郵便料金や印刷代など金銭的な問題
年賀はがきの価格は2025年時点で1枚85円になり、印刷代やデザイン料も合わせるとかなりの出費となります。
例えば100枚出すと、はがき代だけで8,500円、印刷代を含めれば1万円を超えるケースも珍しくありません。
「費用を節約したい」という理由で年賀状じまいを選ぶ人が増えているのも納得できます。
枚数 | はがき代(85円) | 印刷代(相場) | 合計コスト |
---|---|---|---|
50枚 | 4,250円 | 約4,000円 | 8,000円以上 |
100枚 | 8,500円 | 約6,000円 | 1.4万円以上 |
200枚 | 17,000円 | 約1万円 | 2.7万円以上 |
デジタルツールの普及と効率化
LINEやメール、SNSを通じて簡単に新年の挨拶を伝えられるようになったことも大きな理由です。
スマホひとつで写真や動画を添えて送ることもでき、紙の年賀状以上に親しみやすい交流が可能になりました。
「紙よりもデジタルの方が自分らしい表現ができる」と感じる人も少なくありません。
手段 | 特徴 |
---|---|
LINE | スタンプや画像で気軽に挨拶 |
メール | 丁寧な文章で送信可能 |
SNS | 写真や動画で共有、双方向の交流 |
人間関係の整理や終活との関連
人生の節目や暮らしの変化を機に、交友関係をシンプルにしたいという理由から年賀状じまいを選ぶ人もいます。
「今後は必要な相手とだけ自然につながっていきたい」と考えるのは、ごく自然な流れです。
年賀状じまいは、人間関係を穏やかに整理する手段のひとつとして受け止められています。
タイミング | 背景 |
---|---|
転勤・引っ越し | 生活環境が変わりやり取りが減少 |
ライフステージの変化 | 家庭や仕事の優先度が変化 |
終活の一環 | 身の回りの整理とともに区切りをつける |
失礼にならない年賀状じまいの伝え方
年賀状じまいを伝えるときに最も大切なのは、相手に不快感を与えず、感謝の気持ちを込めることです。
ここでは、理由の書き方や伝えるタイミングなど、押さえておきたいポイントを紹介します。
理由を伝える際の表現ポイント
理由はできるだけ前向きで簡潔に書くことが大切です。
例えば「新しい生活に合わせて」「環境に配慮して」「これからはデジタルで」など、相手が納得しやすい言葉を選びましょう。
ネガティブな表現を避けることで、相手も自然に受け入れやすくなります。
避けたい表現 | おすすめの表現 |
---|---|
「もう面倒なのでやめます」 | 「年末の準備を整理するため区切りをつけました」 |
「経済的に厳しいのでやめます」 | 「郵便料金の改定をきっかけにデジタルでのご挨拶に移行しました」 |
「人付き合いを減らしたいのでやめます」 | 「暮らしの変化に伴い、交流の形を見直しました」 |
年賀状じまいを伝えるベストなタイミング
伝えるタイミングは「最後の年賀状に一言添える」のが一般的です。
通常の新年の挨拶に加え、「本年をもちまして年賀状でのご挨拶は一区切りといたします」と添えることで、自然に伝わります。
突然送らなくなるよりも、前もって知らせる方が誠意を感じさせることができます。
タイミング | メリット |
---|---|
新年の挨拶に添える | 自然な形で伝えられる |
前年の暮れに別便で伝える | 相手が年明けに安心できる |
喪中はがきと併せて伝える | 丁寧で無理のない方法 |
喪中はがきや別便で伝えるケース
年賀状じまいを特別に知らせたい場合は、喪中はがきや年末の挨拶状を活用するのも一つの方法です。
喪中はがきに「これを機に年賀状を控えさせていただきます」と添える形で伝えるケースもあります。
また、別便で「今後はメールなどでご挨拶させていただきます」と案内するのも丁寧です。
重要なのは、相手が不安にならないよう明確に伝えることです。
手段 | 向いているケース |
---|---|
喪中はがき | 節目を機に丁寧に伝えたい場合 |
別便の挨拶状 | 取引先や親戚などへ配慮したい場合 |
メール | 親しい間柄で気軽に伝えたい場合 |
年賀状じまいの文例集【年代別・場面別】
ここでは、実際に使える「年賀状じまい」の文例を年代別・場面別にまとめました。
短い一言タイプから、しっかりと書き込むフルバージョンまで紹介しますので、ご自身の状況に合う形を参考にしてください。
50代におすすめの文例(環境・節目・体力)
50代は家庭や仕事で転機を迎える時期であり、自然な形で「区切り」を伝えやすい世代です。
文例1:環境への配慮と新しい生活様式
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、私事ではございますが、環境への配慮と新しい生活様式への適応を考え、今年を最後に年賀状でのご挨拶を控えさせていただくことにいたしました。
今後はメールやSNSにて、近況のご報告や新年のご挨拶をさせていただきたく存じます。
何卒ご理解いただけますと幸いです。
本年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
文例2:人生の節目を理由に
謹賀新年
旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
この度、人生の節目を迎えるにあたり、長年続けてまいりました年賀状でのご挨拶を本年をもって終了させていただくことにいたしました。
今後はデジタルツールを活用し、皆様とのつながりを引き続き大切にしてまいりたいと存じます。
突然のお知らせで恐縮ではございますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
文例3:体力的理由を穏やかに伝える
あけましておめでとうございます。
旧年中はお世話になり、ありがとうございました。
私も年を重ねるにつれ、筆をとる作業が難しくなってまいりましたので、年賀状は今年限りでご遠慮させていただきます。
みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
高齢者向けの文例(穏やかな断り方)
無理をせず、相手に優しい気持ちが伝わる文面が好まれます。
文例1
新年おめでとうございます。
長年にわたり年賀状のやり取りをいただき、誠にありがとうございました。
この度、一身上の都合により、本年をもちまして年始のご挨拶を終わりとさせていただきたく存じます。
今後とも変わらぬお付き合いをいただければ幸いです。
文例2(フルバージョン)
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
長きにわたり温かいお心遣いを賜り、心より感謝申し上げます。
勝手ながら、年賀状でのご挨拶は本年限りとさせていただきたく、ここにご案内申し上げます。
これからもご縁を大切に、折々に近況をお伝えできればと存じます。
どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
ビジネス向けの文例(会社・取引先)
ビジネスシーンでは簡潔かつ誠実な表現が求められます。
文例1:一般的な案内
拝啓 新春の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび弊社では環境配慮および業務効率化の観点から、年賀状によるご挨拶を控えさせていただくこととなりました。
今後はメール等にてご挨拶を申し上げたく存じます。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
文例2:取引先向け(フルバージョン)
謹啓 新春の候、貴社のご発展を心よりお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび弊社ではペーパーレス推進の一環として、年賀状での新年のご挨拶を終了させていただくことにいたしました。
今後は電子メールにてご挨拶を差し上げたく存じます。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
終活や断捨離を理由にした文例
人生の整理の一環として自然に伝えられる形です。
文例1
新年おめでとうございます。
私事で恐縮ですが、生活を整理する一環として、年賀状のやり取りは本年をもちまして終了させていただくことにいたしました。
これまでの長きにわたるご厚情に心から感謝申し上げます。
文例2(フルバージョン)
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中は温かなお付き合いを賜り、誠にありがとうございました。
私事ではございますが、暮らしを見直すにあたり、年賀状でのご挨拶は本年をもって区切りとさせていただくことにいたしました。
今後は別の形で近況をお伝えできれば幸いです。
これからもご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
年賀状じまいの後のコミュニケーション
年賀状をやめても、人とのつながりを失うわけではありません。
ここでは、年賀状じまいの後にどのように交流を続けていけるのか、具体的な方法を紹介します。
LINE・SNS・メールでのつながり方
年賀状に代わって主流となっているのが、LINEやSNS、メールなどのデジタルツールです。
これらを使えば、より気軽に、そしてタイムリーに気持ちを伝えることができます。
「必要なときに、必要な相手へ」伝えられるのがデジタルの強みです。
手段 | 特徴 | おすすめの使い方 |
---|---|---|
LINE | 既読確認ができる | 年始の一言メッセージや写真の共有 |
SNS | 近況を広く伝えられる | 新年の投稿で一括のご挨拶 |
メール | 丁寧な文章で伝えられる | 取引先や年長者へのフォーマルな挨拶 |
親しい関係を続けるための工夫
年賀状じまいをしても、心の距離を縮める方法はいくつもあります。
たとえば、誕生日や記念日にメッセージを送ったり、季節の便りをメールやカードで届けるのも素敵です。
また、旅行先から写真をシェアするなど、カジュアルな交流がかえって関係を深めるきっかけにもなります。
「年賀状をやめる=関係をやめる」ではないことを、相手に伝えていくことが大切です。
工夫 | 効果 |
---|---|
誕生日や記念日にメッセージ | 個別に大切にされていると感じてもらえる |
旅行や近況を写真で共有 | 会話のきっかけが生まれる |
ちょっとしたお礼を即時に送る | タイムリーで温かい印象を与える |
まとめ|年賀状じまいを前向きに伝えるコツ
ここまで、年賀状じまいの背景や理由、失礼にならない伝え方、そして実際に使える文例をご紹介してきました。
最後にポイントを整理して、気持ちよく年賀状じまいを進めるためのヒントをまとめます。
年賀状じまいは「人との縁をやめる」のではなく、「新しい形のつながりを選ぶ」ものです。
伝える際は、以下の点を意識するとスムーズに受け入れてもらいやすくなります。
ポイント | 理由 |
---|---|
理由を前向きに書く | 相手が納得しやすく、気持ちも伝わる |
感謝の言葉を添える | これまでの交流を大切にしてきたことが伝わる |
今後のつながり方に触れる | 「年賀状がなくても関係は続く」と安心感を与えられる |
2025年は、年賀状じまいがますます一般的になり、多くの人が自然に選択するようになっています。
相手を思いやる気持ちを込めて伝えれば、むしろ関係がより心地よいものになるはずです。
ご自身やご家族のスタイルに合わせて、前向きな年賀状じまいを実現してください。
コメント