七五三は、子どもの健やかな成長を祝う大切な行事です。
そのときに欠かせないのがお祝い袋(ご祝儀袋・のし袋)ですが、いざ準備しようとすると「表書きはどう書くの?」「名前はどこに入れるの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、七五三のお祝い袋の正しい選び方・表書き・名前の書き方・中袋の金額記入例を、すべて例文付きで解説します。
祖父母・親戚・友人といった立場別の相場や、渡すときの挨拶の言葉までカバーしているので、この記事を見ながら準備すればそのまま完成形に仕上げられます。
七五三のお祝いを安心してスマートに贈りたい方は、ぜひ最後まで参考にしてください。
七五三のお祝い袋の正しい選び方
七五三のお祝い袋は、ただお金を包むための袋ではなく、子どもの健やかな成長を願う気持ちを形にする大切なものです。
ここでは、水引やデザインの選び方を押さえて、失礼のないお祝い袋を用意するポイントを見ていきましょう。
水引の種類と意味
お祝い袋を選ぶ際にまず注目したいのが水引(みずひき)です。
七五三では、「蝶結び」の水引が基本になります。
蝶結びは「何度あってもうれしいお祝い」に使われる結び方で、子どもの成長を何度でも祝えるよう願う意味が込められています。
水引の種類 | 意味 | 使用するシーン |
---|---|---|
蝶結び | 繰り返しのお祝い | 七五三、出産祝い、入学祝い |
結び切り・あわじ結び | 一度きりが望ましいお祝い | 結婚祝い、快気祝い |
七五三で「結び切り」を選んでしまうのは間違いなので注意しましょう。
デザインや色の選び方のポイント
水引の結び方を押さえたら、袋全体のデザインを選びます。
七五三のお祝い袋は、紅白を基調とした華やかなものが定番です。
男の子には青や金色のアクセント、女の子にはピンクや花柄の入った袋が人気です。
最近はキャラクターデザインも見かけますが、正式なお参り用やご祈祷に持っていく場合は、シンプルで格式のあるデザインを選んだ方が安心です。
用途に合ったお祝い袋を選ぶコツ
お祝い袋は包む金額によっても選び方が変わります。
数千円〜1万円程度なら簡易的なデザインの袋でも良いですが、3万円以上を包む場合は、豪華な水引や厚みのある袋を選びましょう。
包む金額 | おすすめの袋 |
---|---|
5千円〜1万円 | 簡易的な蝶結びの袋 |
2万円〜3万円 | 金や銀が入った水引の袋 |
5万円以上 | 厚みがあり格調高い袋 |
袋選びの段階から、相手への気持ちを表す大切なマナーになります。
七五三のお祝い袋の表書きの書き方
お祝い袋の表書き(おもてがき)は、袋の上段に書く言葉で、贈り物の目的を示します。
七五三では、子どもの年齢や意味に合わせて表書きを選ぶことができます。
ここでは、基本の書き方から年齢ごとの書き分けまで、例文を交えて紹介します。
基本の表書き
どの年齢にも使える、もっとも一般的な表書きは以下の通りです。
- 御祝
- 七五三御祝
- 祝 七五三
迷ったときは「七五三御祝」と書けば安心です。
表書き | 使用シーン |
---|---|
御祝 | 汎用的にどの七五三にも使える |
七五三御祝 | もっとも定番で失敗がない |
祝 七五三 | ややカジュアルで親しい相手向き |
3歳・5歳・7歳それぞれの表書き
より丁寧に書きたい場合は、年齢に応じた由来のある言葉を選びましょう。
- 3歳:御髪置御祝、祝 御髪置、賀御髪置
- 5歳:御袴着御祝、祝 御袴着、賀御袴着
- 7歳:御帯解御祝、祝 御帯解、賀御帯解
例えば、3歳の七五三なら「御髪置御祝」と書くと伝統に即した表記になります。
ただし、これらは少し格式が高いため、一般的な「七五三御祝」を使っても問題ありません。
筆記具の選び方と注意点
表書きは毛筆や筆ペンで書くのが基本です。
濃い墨で力強く書くことで、お祝いの気持ちを表現できます。
ボールペンや鉛筆は避けるのがマナーです。
どうしても筆が苦手な場合は、サインペンを使うのは許容範囲ですが、線が細くなりすぎないよう注意しましょう。
【表書きフル例文イメージ】
例えば、7歳の女の子への七五三祝いなら、袋の上段に以下のように書きます。
七五三御祝
もし伝統的に書くなら、以下のようにも書けます。
御帯解御祝
七五三のお祝い袋に名前を書く位置とルール
表書きと同じくらい大切なのが、差出人や子どもの名前の書き方です。
どの位置に、どのように書くかで印象が大きく変わります。
ここでは、贈り主の名前・連名のルール・子どもの名前を入れるケースについて解説します。
水引下段に書く贈り主の名前の書き方
お祝い袋の水引の下段中央に、贈る人のフルネームを記載します。
名字だけではなく、必ずフルネームで書くのが基本です。
例文:
七五三御祝 (表書き) ───── 水引 ───── 山田太郎
夫婦・連名で書く場合の並び順
夫婦や家族で連名にする場合は、立場の高い人から順に右から左へと並べます。
例文(夫婦連名の場合):
七五三御祝 ───── 水引 ───── 山田太郎 山田花子
例文(兄弟で連名の場合):
七五三御祝 ───── 水引 ───── 山田一郎 山田二郎
夫婦の場合、夫のフルネーム+妻の名前のみでも良いとされています。
七五三御祝 ───── 水引 ───── 山田太郎 花子
子どもの名前を入れるケースとふりがなの付け方
七五三のご祈祷をお願いする場合には、子どもの名前を袋に書くことがあります。
その際は中袋の中央下部に子どものフルネームを書き、小さめの字で添えましょう。
さらに、神主が読み間違えないようにふりがなを付けると安心です。
例文:
(中袋) 金 壱萬円 ───── 住所:東京都〇〇区〇〇町1-2-3 氏名:山田太郎 子供:山田花子(やまだはなこ)
【名前フル記入イメージ例】
祖父母が孫に贈る場合、外袋と中袋はこのようになります。
(外袋) 七五三御祝 ───── 水引 ───── 佐藤一郎 佐藤美智子 (中袋 表面) 金 参萬円 (中袋 裏面) 住所:東京都新宿区〇〇町1-2-3 氏名:佐藤一郎 佐藤美智子 子供:佐藤太郎(さとうたろう)
中袋(内袋)の正しい記入方法
お祝い袋の中に入れる中袋(内袋)には、金額や住所、氏名などを記入します。
特に金額は旧字体で書くのが正式とされており、間違えやすいポイントでもあります。
ここでは、中袋の正しい書き方を例文つきで解説します。
金額の書き方(旧字体・漢数字)
金額は中袋の表面中央に書きます。
数字は通常の漢数字ではなく、旧字体を用いるのがマナーです。
金額 | 正しい表記 |
---|---|
5,000円 | 金 伍仟円 |
10,000円 | 金 壱萬円 |
20,000円 | 金 弐萬円 |
30,000円 | 金 参萬円 |
50,000円 | 金 伍萬円 |
例文:
(中袋 表) 金 参萬円
裏面の住所・氏名の書き方
中袋の裏面左下には、贈り主の住所と氏名を記入します。
正式には住所を省略せず、郵便番号から書くと丁寧です。
例文:
(中袋 裏) 〒123-4567 東京都新宿区〇〇町1-2-3 山田太郎
親しい関係であれば住所を省略して名前だけでも構いません。
書き損じてしまったときの対処法
中袋で書き間違えた場合、修正ペンや二重線で直すのはNGです。
その場合は必ず新しい中袋を用意して、改めて書き直しましょう。
お祝いの気持ちを伝える袋なので、清書された美しい字で仕上げることが大切です。
【中袋フル例文イメージ】
例えば、祖父母が孫に3万円を贈る場合、中袋は次のように書きます。
(表面) 金 参萬円 (裏面) 〒123-4567 東京都横浜市〇〇区〇〇町1-2-3 佐藤一郎 佐藤美智子
お祝い金の包み方と入れ方
お祝い袋の中にお金を入れるときは、単に入れればよいというものではありません。
新札を用意したり、お札の向きを揃えたりと、細やかな心遣いがマナーにつながります。
ここでは、七五三にふさわしいお祝い金の包み方を具体的に解説します。
新札を用意する理由と扱い方
お祝い金は必ず新札を用意しましょう。
新札には「事前に準備していました」という意味があり、相手への心遣いを示せます。
シワや折れ目のあるお札は避けることが大切です。
お札の向きと中袋への入れ方
中袋にお札を入れるときは、お札の表(人物の顔)が上向きで封筒の表に来るように揃えます。
顔の位置は袋の上側に来るようにし、揃えて入れると丁寧です。
入れ方 | 正しい向き |
---|---|
表向き | 人物の顔が表側に見える |
上側 | 人物の顔が袋の上に位置する |
例文:
(中袋を開けたとき) ───────── 壱萬円札(顔)が上 壱萬円札(顔)が上 壱萬円札(顔)が上 ─────────
のし袋の折り方とふくさでの持ち運び方
お祝い事では、袋の下の折りを上にかぶせるように折ります。
これは「幸せを受け止める」という意味を持っています。
さらに、お祝い袋はそのまま持ち歩かず、ふくさ(袱紗)に包んで持ち運ぶのが正式です。
紫や赤系のふくさは慶事に適しており、受付や渡す場面で取り出すと、より丁寧な印象になります。
【包み方フルイメージ】
例えば、3万円を新札で用意した場合の流れは次の通りです。
① 新札を3枚用意する ② 顔が上向きになるように揃える ③ 中袋に「金 参萬円」と記入 ④ お札を入れて封をする ⑤ のし袋に収める ⑥ のし袋を下折りが上に重なるように封じる ⑦ 紫のふくさに包んで持参する
七五三のお祝い金の相場と渡し方
七五三のお祝いでよく迷うのが金額の相場です。
また、いつどのように渡せばよいかも、知っておきたい大切なマナーです。
ここでは、立場別の金額目安と、渡すタイミング・言葉の添え方を紹介します。
祖父母・親戚・友人それぞれの相場
お祝い金の金額は、贈る人との関係性によって変わります。
贈る人 | 相場 |
---|---|
祖父母 | 2万円〜5万円程度 |
親戚(叔父・叔母など) | 1万円〜3万円程度 |
友人・知人 | 5千円〜1万円程度 |
金額は地域差もあるため、事前に家族に確認しておくと安心です。
偶数や不吉な数字を避ける理由
七五三に限らず、お祝い金では偶数や不吉な数字は避けるのがマナーです。
「4(死)」「6(無)」「9(苦)」などは縁起が悪いとされるため使いません。
一方で、「8(末広がり)」はおめでたい数字として好まれることもあります。
例文:
○ 正しい金額例:1万円、3万円、5万円 × 避けたい金額例:4万円、6千円、9千円
渡すタイミングと挨拶の言葉
七五三のお祝いは、11月15日の正式な日より少し前に渡すのが一般的です。
当日は準備で忙しいことが多いため、数日前に渡す方が喜ばれます。
渡すときは、必ず両手で相手向きにして手渡すのが基本です。
言葉を添えるとより丁寧になります。
例文(挨拶の言葉):
「七五三おめでとうございます。ささやかですが、お祝いをお納めください。」 「健やかなご成長をお祈りいたします。どうぞお受け取りください。」
【渡し方フルイメージ】
① ふくさからお祝い袋を取り出す ② 表書きが相手に向くように両手で持つ ③ 「七五三おめでとうございます」と言葉を添える ④ 相手が受け取りやすいよう差し出す
七五三のお祝い袋でよくあるNG例
七五三のお祝い袋は、ちょっとした書き方や扱い方の違いで失礼にあたることがあります。
ここでは、特にやってしまいがちなNG例を紹介し、正しい方法と比較して覚えておきましょう。
ボールペンで書いてしまう
お祝い袋にボールペンや鉛筆を使うのはマナー違反です。
文字が薄く見えたり、修正ができたりする筆記具は「心を込めていない」と受け取られることもあります。
NG例 | 正しい例 |
---|---|
ボールペンで「七五三御祝」 | 筆ペンで「七五三御祝」 |
サインペンで薄い字 | 毛筆で濃い墨 |
筆ペンや毛筆を選ぶことが必須です。
水引の種類を間違える
七五三は何度あっても良いお祝いなので蝶結びが正解です。
結び切りやあわじ結びを使うと、「一度きり」と解釈されてしまい不適切です。
例文:
× 御祝(結び切りの袋) ○ 七五三御祝(蝶結びの袋)
金額や数字の書き方を誤る
金額を通常の数字や簡略した漢数字で書いてしまうのも避けたいNGです。
「1万円」と数字で書くのではなく、旧字体を使います。
NG例 | 正しい例 |
---|---|
1万円 | 金 壱萬円 |
3万 | 金 参萬円 |
旧字体で金額を書くことで、改ざん防止にもなります。
【NGと正しい例のフルイメージ】
(NG例) 御祝(結び切り) ───── 水引 ───── 田中太郎 金 10000円 (正しい例) 七五三御祝(蝶結び) ───── 水引 ───── 田中太郎 金 壱萬円
まとめ|正しい書き方で心を込めた七五三祝いを
ここまで、七五三のお祝い袋の選び方から、表書き・名前・中袋の記入方法、さらに金額相場や渡し方まで解説してきました。
最後に、基本のポイントを整理しておきましょう。
表書き・名前・金額の基本をおさらい
- 表書きは「七五三御祝」がもっとも定番
- 名前は水引の下にフルネームで書く
- 中袋には旧字体で「金 壱萬円」などと記す
- 裏面には住所・氏名を記入し、丁寧さを示す
ボールペンや不適切な水引はNGであることも忘れないようにしましょう。
マナーを守ることで気持ちがより伝わる
七五三は子どもの成長を祝う大切な行事です。
正しい袋の選び方や書き方を守ることで、お祝いの気持ちがしっかりと相手に届きます。
表書きや名前の書き方に迷ったら、本記事の例文を参考にすれば安心です。
形式を整えることは形式だけでなく、「心を込めて準備しました」という思いの表れでもあります。
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